これまた世界遺産であるヴェッキオ橋を渡ったりしてうろうろ歩いているうちに、日本から旅行に来た女子大生4人組に「日本の方ですか」と声をかけられる。「中央駅はどっちでしょう?」「分からないけれど、たぶんこの方向だと思うよ」
別れたあと歩いていたら、駅前の景色が見えてきたので、彼女たちのところに戻り、「この道をまっずぐ行って、右」と教えてあげる。私は何と優しいのだろう。誰も言ってくれないけれど。
せっかくイタリアに旅行に来たのだから、イタリア人に声をかけて駅までたどり着くのが面白いと思う。日本人に声をかけるのはちょっともったいないのではないか。しかも集団で歩いているのだから、変な犯罪に巻き込まれることはあるまい。とはいえ、外国で言葉が通じるだけで「安心」や「信頼」に通じるものではある。日本人なら日本人に頼りたくなるのは仕方ないとも言える。ましてや女性である。ここは大目に見てあげよう。日本の男子学生が「駅はどこでしょう」と私に声をかけてきたらしばきあげるところだが、女子大生だから許そう。心の広い私。誰も言ってくれないけれど。