橋の上にいると、観光用のゴンドラがえっちらおっちらやってくる。とはいえ、あらゆる水路に観光ゴンドラが行くわけではなさそうだ。
ここまでは観光用ゴンドラは来ないのだろうか。窓から干された洗濯物を見て、生活感をようやく感じることができた。観光地とはいえ、ベネチアで普通に生活をしている人たちがいて、普通に洗濯をして、普通に干すのである。
水路が狭いところは、日本の都市部の住宅並みに建物が接近している。住宅が密集していて、隣の声が筒抜けになるのは何も日本に限らないということか。よく見ると、こんな狭い水路にも小舟がある。住民の移動用なのだろう。観光客は面白がるけれど、毎日ベネチアで暮らしている住人にとっては小舟の移動はけっこう面倒かも知れない。
あす電車の中で昼食に食べるパンやジュースを買い、手持ちの残金が17000リラ(約1360円)。晩飯にお金をかけなければ何とかなる。そう思って安そうな店に入り、サンドイッチを3個とオレンジジュースを飲む。私の計算では何とか17000リラ以内に収まるはずだった。ところが、請求は18000リラ(約1440円)。1000リラ(約80円)足りない。何と言うことだ。
店の前に銀行があり、そこでVISAカードを使って現金を降ろすことにした。ところが操作方法がよくわからないから、何回やってもダメ。私のうしろで順番を待っていた女性3人組に先にやってもらい、操作方法を教えてもらって私も現金を引き出すことができた。この間、店のおやじが不審げに私を見ているのが不愉快だったが、おやじの立場になれば仕方ない。100万リラ(約8万円)が足りないと言うのならまだしも、わずか1000リラ(約80円)の現金が足りないとはどういうヤツだと思われるのは当たり前である。
とはいえ、問題はイタリア最終日の夜に手元に5万リラ(約4000円)もの現金が残ってしまったことである。どうしよう。